2020-03-23 17:52:11 JST
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麻耶雄嵩『友達以上探偵未満』3/5点。 JK探偵の「伊賀もも」と「上野あお」の桃青コンビ。ライトノベル風味で読みやすい。作中の小ネタ元ネタもベタだったり意表を突かれたりと面白い。ただし、事件は殺人でがっつり推理力を要求される。問題編の最後に「推理しましょう、もしくは一句」とあり、解決編が別立てで用意される犯人当てになっているのだが、二戦二敗。残ったのは汚いメモに的外れの推理と、下手な俳句が二つ。話の展開は素直。当たらないのも騙されるのもむしろ快感なのだが、麻耶雄嵩にはどうしても毒を求めてしまうため、少々物足りなく感じる。とはいえ、最後まで読むと桃青コンビの見方(特にあお)がガラリと変わるのは見事。一読と再読では垣間見える探偵の心の内が正反対になる仕掛けはうまいなぁ。麻耶雄嵩の作る探偵はいつも魅力的である。道徳心の欠片もない銘探偵。ワトソンにプロデュースされる(踊らされる)名探偵。使用人任せで自分では推理しない探偵。全知全能(ていうか神様)で推理しなくとも犯人がわかる探偵。独断と偏見で犯人を当てるものの、ワトソンにダメ出しされポンコツ扱いされる探偵。そして、今回は二人で一人の名探偵(候補)。次はどのような探偵が来るのか、、、麻耶雄嵩のミステリーはいつも楽しみである。